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V(ヴァカみたいにどうでも良いこと)を、 N(ねちねち)と書いてみる。 根本的にヴァイオリンとは無関係です。
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ドラキュラに突っ込んだ二人が帰ってきたのは、
そろそろ日も暮れようかと言うころだった。
早々に帰還して、装備を整えなおし、
別の狩場で一狩り終えてゆっくりしていたポールたちの前に、
ボロボロになった二人はふらふらと現れ、
そのまま地面に倒れこんだ。
そっとポールが声をかける。
「だ、大丈夫ですか?」
「まーね。」
全力で暴れまわったのだろう、
ジョーカーの声は弱弱しく、
ヒゲに至っては目の焦点が定まっていない。
もっとも、彼の顔面は常にガスマスクに覆われているので、
「多分そうなんだろうなー」と、予想するしかないのだが。

そんな二人をいたわることなく、
非情にも置き去ったハイプリが尋ねた。
「それで、倒せたの? ドラは。なんか出た?」
ねっころがったまま、AXがわずかに手を振って答える。
「いーや、後から来た対抗に全部持ってかれた。」
「全部? うわ、まったく持って無駄もいいところじゃん。」
「まあ、ボス狩りだからねー 仕方ないよ・・・」
通常、生命にかかわることでない限り、
他人の獲物に手を出すことはご法度である。
しかし、ドラキュラのようにその存在が都市の存続に関わるような、
脅威的な力をもっていると判断される魔物、所謂MVP指定のモンスターについては、
いかなる手段を用いても排除しなければならない為、例外とされている。
MVPと称されるだけあって、それらの駆除は大変危険を伴うが、
国から高額の報奨金がかかっており、
討伐に成功すれば暫く遊んで暮らすことができる。
また、彼らがまれに落としていく幾つかのアイテムは、
その力を反映するかのごとく強力であり、
市場で100万単位の値がつくことが多い。

とはいえ、魔法や技、武器防具等の性能は日々進化しているので、
古くに指定されたMVPは、既に脅威でなくなってきているのも事実であり、
ものによっては単独で狩る猛者も存在する。
これは本来なら歓迎するべきことなのだが、
余裕があるために、協力すべき他の冒険者にわざと魔物の攻撃が当たるようにしたり、
魔法を用いて行動の邪魔をしたりする不届きな輩も現れ、
冒険者たちを管理するレンジャーギルドの悩みの種となっている。
あまりに悪質な行為は政府に通報され、事実確認が済み次第、
冒険者としての資格を取り上げられたり、場合によっては刑罰に問われることもあるのだが、
実際のところ、立証は難しく、
討伐の証拠となる遺留品やアイテムは早い者勝ちというのが現状だ。
だからこそ、対抗という言葉も用いられるのがMVP退治、通称ボス狩りの特徴であり、
モンスターを駆除する実力だけでなく、他の冒険者に邪魔されないスピードや運も必要となる。
行き当たりばったりで突っ込んで上手くいくほど、甘いものでもなかった。

「そもそもさー、アスペなしで狩ろうって言うのが間違いなんだよね。
 もう、硬い硬い。」
「真っ先に突っ込んでおいて、何を言うか。」
そもそも、アスペルシオが闇に属する魔物に有効だというのも、
彼らが生まれ持つ闇のシールドを切り裂くからである。
ドラキュラのように強い魔力を持つ相手に、
塩なしで挑む愚か者は、数多い冒険者の中でもジョーカーぐらいであろう。
クレイがあきれ果てたように相手をするのも当然なのである。
「それで、どうやって倒すつもりだったのよ。」
「ボクが留めてる間に、ヒゲのサンクでどうにかならないかと思って。」
二人の会話をおとなしく聞いていたポールがここで質問をはさんだ。
「サンクチュアリって、範囲回復魔法ですよね?
 それでどうやって、ドラキュラを倒すんです?」

サンクチュアリ。
クレイの得意とする範囲攻撃魔法・マグヌスエクソシズム、通称MEと対を成す、
範囲回復魔法である。
青ジェムを媒体として地面に魔方陣を敷くまでは同じだが、
MEが聖なる光を持って魔方陣に入った魔物を駆除するのに反し、
サンクは敵味方を問わず、その傷を癒し、体力を回復させる。
癒しの力で敵を倒すというのは、確かにおかしな話だ。
「ああ、ヒールがゾンビにダメージを与える話はしたっけ?
 要はそれと同じ理屈なのよ。」
実質的ポールの専属教師が、この話はどこまでしたっけなと、
小首をかしげた。
「そもそも魔法って言うのは、
 呪文によって術者の魔力を組み替える作業だって言うのはわかってるよね?
 その組み換えによって、魔力を炎や氷に変えてモンスターを攻撃したり、
 バリアを作ったりするわけで、
 その中で、回復魔法は魔力を対象者の生命力を活性化するように組み替えたものなのよ。」
ここまではいいよね? 
と、基本中の基本をクレイは確認し、ポールは黙ってうなずいた。
「だけれども、本来死体であるゾンビどもに使うと、
 生命力を活性させて、傷を癒すどころか、逆に体を崩してしまうわけ。」
自然の摂理に反して動き回っているゾンビたちに、
生き物本来の生命力を活性化させることは合わないのだろう。
故にヒールは対不死者に置いてのみ、攻撃魔法になりうる。
クレイの説明に、横からジョーカーが「所謂ヒール砲だね。」と、補足する。
「何故、そうなってしまうのかといえば、ヒールとして変換された魔力が、
 ゾンビ達の体質に合わないから。
 同じように、サンクチュアリの光も一部の魔物に合わないのよね。」
通常の魔物であれば、人間と同じようにその傷を癒すサンクチュアリの光であるが、
不の性質が強すぎるなどの理由で、合わない魔物に対してはダメージを受けるだけでなく、
その領域に留まることすら許さず、跳ね飛ばすという。
「で、ドラキュラもサンクに合わない魔物の一つで、ダメージを与えることができるわけ。」
それどころか、本来が攻撃の意図で形成されたわけではないためか、
魔物側の防御魔法をすり抜けて体に浸透するらしく、
下手な攻撃魔法よりも高いダメージを与えるらしい。

そうクレイが締めくくると、ジョーカーが再び横から補足を入れた。
「ドラキュラみたいに、MDEF(魔法防御力)の高い魔物に対しては、
 MEとかの攻撃魔法より、返って有効なんだよね。」
「まったく、そのMEに特化した身としては、腹立たしい話よね。」
二人の先輩の話を聞きながら、
攻撃魔法よりも回復魔法の方が攻撃方法としてに有効だと言うことがあるのかと、
ポールは感心すると共に、
何故、クレイが早々に場を立ち去ったのかをもわかった気がした。
「じゃあ、クレイさんが攻撃に加わらなかったのって、
 MEが効かないからなんですか?」
ポールの質問はきわめて純粋な興味本位だったのだが、
クレイは少し嫌そうに眉を寄せた。
「まあ、ね。まったく効かないって事はないけど、
 碌なダメージを与えられないのがわかってて参戦するほど、
 うちは暇じゃないわ。」
一つの技術に全精力をつぎ込んだ者において、
それが通用しないということは、あまり気分のいいものではないのだろう。
「まして、ほかの攻撃方法もないのに、
 無駄に時間かけてドラキュラに手を出すくらいだったら、
 いっぺん戻って、準備整えてから再戦するね。」
ゲフェンダンジョンはそれができるんだからさ。
そう、クレイはさも興味なさそうに言い捨てた。

そもそも、ゲフェニアダンジョンは魔法都市・ゲフェンの中央に設置された、
封印の塔・ゲフェンタワーの地下にある。
元々、土地自体が強い魔力を持ち、多くの魔物が生息していたところに、
それを抑える目的でゲフェンタワーが建てられ、町は築かれた。
ゲフェンタワーによって地下に封印された魔物は通常そこから出てくることはないが、
自然と中で増殖するらしく、時折駆除しないとゲフェンタワーの制御力を上回ってしまう。
そこでポール達のような冒険者がしばしば狩りに赴くのだが、
出現するモンスターが、一部を除きさほど強くないのに加え、
町のど真ん中にダンジョンがあるため、帰還、補給が非常にやりやすいのが、
ゲフェンダンジョンの大きな特徴であり、中級者向けといわれる由縁である。
「戻ってくるの簡単なんだから、一度町に帰って準備しなおせばいいのに、
 あのままドラに突っ込むなんて無茶、無謀を通り越して、
 無意味だわ。」
「ごめんねwwwww後先考えずに突っ込んでwwwwwwwwwwwww」
至極もっとも且つ、嫌味な意見に、ジョーカーが切れる。
「っていうかさ、何でクレイさんは先に帰っちゃうのさ!
 それこそ、聖水もって戻ってきてくれればいいのに!」
「欲に目がくらんで、周りの迷惑考えずに突っ込んだジョカさんを、
 助けに行く心の余裕はうちにはないわー」
「むやみに僕に対する非難を増加させず、
 素直に面倒だったって言いましょうよwwwwwwwwwwwww」
「うん、じゃあ面倒だった。」
「なんのひねりもないストレートな答えwwwwwwwwwwwww」
言おうと思えば、更にきつい答えを用意できながら、
わざわざ、鸚鵡返しに答えるあたりに、クレイのやる気のなさが伺える。
MVPと見れば突っ込んでいくヒゲやジョーカーと違い、
彼女はリスクの高いボス狩りがあまり好きではないのだ。
ここに一発大当たりを好むジョーカーと、
コツコツ少しずつ、しかし確実に稼ぐことを望むクレイの性格の違いが現れているのだが、
それに気がつくほど、ポールには知識がない。
ただ、なんとなく、「ボス狩りって、良い事じゃないのかなー?」と、
思っただけに過ぎず、
今後、自分がMVPに遭遇したとき、どうしたら良いかすら考えていなかった。
「大体、ポール君がいるのに、何かあったらどうするのよ。」
「そこはハイプリが二人いるんだからどうにかなりませんかー?」
「限度ってもんがあるでしょうが。ポール君は、装備だってそろってないのよ?」
先輩二人の会話を聞いて、初めてそこに思い当たる。

「俺の装備じゃ、無理ですかね?」
上位職の二人には当然適わないまでも、
多少はどうにかならないかと言う期待をわずかに込めて、一応聞いてみる。
一瞬、ジョーカーとクレイは顔を見合わせたが、
ほぼ同時に答えた。
「そりゃ、無理だろ。」
「まず、無理だね。」
やっぱりなあ。と、ポールがこっそり気落ちする横で、
先輩方は次々と意見を述べていく。
「まず、闇鎧ぐらいは欲しいよね。」
「先にイミュンじゃない?」
「後、欲しいのは対悪魔盾、ボス盾だよね。もっともボスはボクも持ってないけどさ。」
「うちは両方持ってないわ。
 悪魔はともかく、ボスは無理でしょ。80Mはするよ、あれ。」
「まあ、非現実的だよね。それより先に狩り装備買わないと。」
「ポール君は前衛だし、武器も欲しいよね。
 属性は塩があるから、先に特化かな?」
「火と風はあったほうが良いけどねー。今の流行は土だって意見も多いけど。」
「剣士の靴と頭ってどうなの? やっぱりフリジットブーツなのかね?」
「オブウィッチもありなんじゃないかな。
 正直そこまで来ると他職の話だからわからないです。」
「うちも専門外だからちょっとねー」
やっぱり、同職の人から聞かないと。と、二人の意見が合ったところで、
よくわかっていないながらも、ポールは一応聞いてみることにした。
「ちなみに、基本中の基本装備そろえるとなると、
 どれくらいかかるんでしょうか?」
再び、先輩二人が顔を見合わせる。

「基本、と言われても難しいね。
 盾、鎧なんかは行く狩場で変わるし。
 あえて言うなら一番使う可能性が高いのは対人盾かな。」
クレイが小首をかしげながら答えると、
ジョーカーがそれならと、言う。
「と、なるとやっぱり、まずはイミュン肩じゃない?
 無属性攻撃への耐性強化は大きいよ。
 武器は、中型特化かな。
 これがあれば大概のところはいけるしね。」
同じ前衛職のお勧めに、ふんふんと、ポールがうなずく横で、
クレイがうんざりしたように、そりゃそうだけどさ。と言った。
「ボーンドって完成品でも12Mぐらいじゃなかった、今・・・」
「イミュンが新規で5M? うまく中古が出たとしても、4Mはするよね。」
先輩方が答えた具体的な金額を聞いて、ポールは思わず叫ぶ。
「すみません、俺の所持金は全部集めても25万しかないんですけど!」
「大丈夫、ボクの所持金もそんなもんだ。」
新米剣士の悲鳴を軽くスルーして、先輩AXはこれからそれを稼ぐんだよ。
と、あっさり言い切った。
今の稼ぎは一日2・3万ぐらい。
普通に町で働いて稼ぐよりは多いが、そこから日々の生活費や、
回復剤などの消耗品代を引いていったら、
目標額をためるまで、いったいどのくらいかかるのだろう。
ポールが深くため息をついているのを聞いているのかいないのか、
クレイが更に話を進める。

「属性武器はいくらかなあ・・・武器って言っても色々あるし。
 ポール君はこのまま剣で行くの?
 槍に移行するならそっちでそろえた方がいいけど。」
どうやって稼ぐかすらわかっていない所に、今後の習得技術まで聞かれて、
ポールは口ごもった。
「ええっと、特にまだ、考えてないんですけど・・・」
早速、専属教師の叱咤が飛ぶ。
「だめだよ、それじゃ。装備より先にそっち考えないと。
 将来に関わってくるんだから。」
「はあ・・・」
剣士と言うからには剣だけ扱っていればいいものかとポールは考えていたが、
どうやらそういうわけでもないようだ。
剣士の上位職、騎士は主に両手剣を扱うタイプと、
槍を扱うタイプの二つに分かれるらしい。
「お金がたまるまでの繋ぎとして、剣使うのもいいけど、
 槍型になるなら、少しでも早く槍に慣れておいたほうがいいのは当然だしね。
 このまま両手騎士になるなら、今のままでもいいけどさ。」
クレイの言葉に、「それなら両手騎士になります。」と、安易にポールがが答えようとすると、
それより先に、
「でも、両手騎士って、大半スピード重視の手数勝負でしょ?
 ポール君は力も強いし、打たれ強いんだから、一撃必殺の槍のほうが向いてるんじゃない?」
と、ジョーカーが言い出す。
これにも本人が答えるより先に、クレイが答えた。
「確かにそれは言えてると思う。以前、騎士の支援してたことがあるけど、
 ポール君の体質や動きって、槍の人に近いもん。」
「やっぱり? クレイさんが言うなら、確実だよね。
 支援の人ってそういうの良く見てるもんねー」
ジョーカーが納得する横で、
自分の話なのに全くついて行けず、ポールが黙り込むと、
困ったように、クレイがその肩をたたいた。
「まあ、あわてて今すぐ決めろとは言わないけどさ、
 よく考えて、なるべく早いうちに答えは出しておいたほうが良いよ。
 どっちになるかで、必要な技術も変わってくるし、
 できることも、大きく変わってくるからね。」
「はあ・・・」

そういわれても、どう違うのかがポールにはよく判っていない。
冒険者になることを希望するものが最初に入る初心者アカデミーでは、
せいぜい、剣士が扱う武器の名前と、
上級職では攻撃を得意とするナイトと、
防御を得意とするクルセイダーの二職に分かれることぐらいしか教わらなかった。
クルセはポールの苦手な魔術訓練もしなければならないと聞いたので、
迷わず騎士を目指すことに決めたが、
その騎士にも多様なスタイルがあるとすれば、一体どのスタイルになればいいのだろう。
完全に固まってしまったポールを見て、クレイが肩を落とした。
「うちも、専門的に教えてあげられるわけじゃないしね。
 騎士の育成は、やっぱり騎士に頼まないとだめかしら。」
「つかさー クレイさん、騎士の支援してたんでしょ。
 教えてくれそうな知り合いいないの?」
自分を棚に上げたジョーカーの発言に、まあねーと気乗りしなさそうにクレイが答える。
「心当たりがあるっちゃあるけどさ・・・あんまり積極的に連絡取れる状態じゃないのよね・・・」
「まあ、まずは資金だよね。
 何になるにしても、先立つものは必要だしさ。」
ポール君が、もう少し狩りに慣れたら、もっと稼げる狩場に行こうよ。
そう、ジョーカーが締めくくろうとした瞬間、
それまで屍のように動かなかったヒゲが突然跳ね起きた。

「そうなのよ! 稼がないとやばいんです!」
「うわぁ! いきなり何だよ、ヒゲ!」
ビックリ箱の仕掛けのように飛び起きた相棒から、
あわてて離れ、気味悪そうにジョーカーはヒゲを見る。
「何だよ、やばいって、何がやばいのさ?」
「今週中に・・・借金返済しないと・・・嫁にぶっ殺されるんです・・・」
ガクガクブルブルと震えるヒゲに、クレイとポールが同時に叫ぶ。
「自分、また借金作ったの!?」
「結婚してたんですか、ヒゲさん!?」
驚愕の事実に慌てふためくポールに、
「大丈夫、ポール君。自称”嫁”だから。」と、説明しつつ、
クレイはヒゲの襟首をつかんだ。
「この前、借金返済のために夜なべで狩りに行ったばっかりじゃない!
 今度は何やらかしたのよ!」
「つか、ベッキー、自称”嫁”って酷くないですかwwwwwwwwww」
「やかましい!
 先週の女性週刊誌のウザイ男TOP3で、
 『結婚してないのに彼女を”嫁”と呼ぶ』が入ってたわ!
 あれだけ無駄遣いはともかく、借金作るのだけはやめろって言ったのに、
 何を聞いてたんですか、ヒゲ氏!」
めったに本気で声を荒げることのないクレイが、
割と真面目に怒っているのをみて、ポールはおろおろと慌てふためき、
ジョーカーは止めに入ろうとして、あっさりクレイの裏拳に跳ね返される。
「すみません、青箱が・・・100個セットで売ってたもんだからつい・・・」
「だから、青箱ギャンブルはやめろってあれほど言ったでしょうが!」
ちなみに、青箱とは「古く青い箱」の通称であり、
モンスターが時たま落とす、プチレアの一種である。
基本的にゴミばかりが入っているのだが、
ごく稀に箱でしか手に入らないレアアイテムが入っているので、
一種のギャンブル商品として、露天で売られている。
つかんだ襟首をガタガタとゆすりながらも、
何とか平静を取り戻し、クレイは一応確認した。
「ちなみに・・・中身は?」
「当然のごとく、全てスカでしたwwwwwwwwwww」
「この、愚か者がああああああああああああああああ!」

静かな港町、イズルートに似つかない怒声が響き、
息をつく暇もなく、「ぎやああああああああああああ」と、壮絶な悲鳴が響く。
MEプリよりも、モンクになればよかったのでは良かったのではないかと思わせるスピードで、
鈍器でヒゲをたたくクレイを眺めながら、
ジョーカーは痛む額をさすり、ポールに声をかけた。
「まあ、クレイさん非力だから、見た目ほどのダメージは受けないよ。」
「ヒゲさん、明日狩りにいけますかね・・・?」
呆然と答えるポールの心配はわからなくもなかったが、
この後、ヒゲがどういう扱いを受けるか、ジョーカーは良く知っていた。
「ボク等とはいけないだろうねー
 多分この後、借金返済のために、クレイさんと狩りに行くことになると思うから。」
「ヒゲさん、体もつんでしょうか?」
「大丈夫じゃない? 無駄に体鍛えてるんだし。」
じゃあ、ボク等は帰ろうかと、ポールを促したジョーカーの背中に、
「無駄って言うなwwwwwwwwwwwwww」
と、ヒゲの非難が追いかけてくる。
この分だと、まだ大丈夫だな。
そう、ジョーカーは思った。
少なくともヒゲに止めを入れないぐらいにはクレイは冷静だ。
しばらく、自分がポールの面倒をみなければならないかもしれないが、
ヒゲが借金を返して戻ってくるまで、そんなに掛からないだろう。
「やっぱり、ニブルで耐久ノンストップ狩りなんだろうなー
 クレイさんも良く付き合うよ。」
これから、間違いなくヒゲは借金返済のために不眠不休で働かされるが、
世の中ではそれを、自業自得という。

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