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V(ヴァカみたいにどうでも良いこと)を、 N(ねちねち)と書いてみる。 根本的にヴァイオリンとは無関係です。
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「ヒヒヒヒヒーン!」
「えい! このやろう!」
繊細な動物である馬が、自ら足を踏み入れることは絶対に無いであろう、
薄暗く、湿った洞窟内に不釣合いな鳴き声が響いた。
人々が寝静まった夜半に音も無く現れ、
子供に悪夢を見せ、弱った魂を刈り取るという夢魔・ナイトメアである。
馬に似た、青白い死神に向かってポールが剣を振り下ろすが、
ビュンッと風を切る音はしても、切られたはずの悪魔は全くダメージを受けていない。
幽霊に近く、定まった肉体を持たないナイトメアに通常の武器は通用しない。
ブラックスミスがその技術の粋を尽くして作成した、四大元素の力を持つ武器を使うか、
プリーストやセージの魔法で武器に霊的な属性を付与する必要があった。
ドスコイメンバーの内、
ヒゲとクレイがプリーストの上位職・ハイプリーストなので、
その点で問題は無かったが、こまめに魔法をかけなおさなければならない。

「ヒゲさん、お願いします!」
「よし、アスペルシオ!」
ヒゲが手元から小瓶を投げると、
その声に答えるように、瓶の中から銀色の水が噴き出した。
暗闇の中でもキラキラと輝く魔力を帯びた水が、
ポールの剣に聖なる力を宿らせ、その刀身を光らせる。
その威力はたちまち効果を表し、
剣は本来以上の力を持って、ナイトメアを斬り捨てた。
「やった! さすが上位補助魔法だけあって、すごい威力だなあ~」
「ワシらプリの中では基本スキルだけどね!」
素直に感心する新米剣士に、少し誇らしげにヒゲは答えた。
ヒゲは魔法職に属するハイプリーストでありながら、
物理攻撃を得意とする所謂「殴り」といわれるスタイルな為、
あまり、魔法方面で活躍することはない。
そういう意味でも、褒められたことが嬉しかったらしく、
無意味に「もっとかけようか?」などと言って、ポールを困らせた。
「ヒゲ氏、威張ってる暇があったら手を動かして。」
「おっとwwwwwすみませんwwwwww」
早速クレイに注意され、慌てて戦闘に戻る。

アスペルシオは聖水を使用して、
剣に聖なる光の力を宿らせる魔法である。
四大元素に属する通常のモンスターには然程効果が無いが、
暗闇の中に住む魔族や呪われた死体である不死者など、
闇に属する魔物には絶大な効果を示す。
媒体を消費する代わりに、ヒゲのように魔力の低いプリでも問題なく使用でき、
高レベルのダンジョンほど使用する機会が多いので、
殴り・支援・MEとスタイルの多いプリーストの中でも、
共通した必須スキルとして、人気が高い。
「基本といえば、塩は言われる前に掛けなおすのがプリの基本だけどね。」
「直球の嫌味、ありがとうございますベッキーwwwwwwwwwwww」
クレイはキツそうな見た目と裏腹に、割と温和。
しかし、口はものすごく悪いと言う、
判断のしづらい性格の持ち主だったが、
今回の突っ込みに限っては、ただの嫌味だけではない。
ポールへのアドバイスがその裏にあった。
「そういう基本が、どれだけスムーズにできるかで、
 プリの腕が分かるから、それにあわせて動けるようにしておくんだよ。」
多くの敵を相手にしなければならないダンジョン内において、
プリーストの支援は必須だが、
プリがいるからといって無茶は禁物であるし、
どれだけの支援をこなせるかは人によって違う。
全滅の危険を避けるためにも、プリーストの能力を把握し、
負担を掛け過ぎないように動くのは重要な技術の一つだ。
「支援を切らさずに掛け続けるのは確かに基本中の基本だけど、
 結構難しいし、そのときの状況にもよるから、
 一回切らしたからって、即駄目って事もないけどね。」
なるほど、とポールがうなずく横で、
クレイの説明にジョーカーが口を出す。
「むしろ、支援を切らさないって言うのは、結構な高等技術なんじゃないかい。」
対象者の腕力や魔力などを上げるブレッシング。
素早さを上げる速度増加。
敵からのダメージを防ぐキリエエレイソンにアスムプティオ。
SPの回復を早めるマグニフィカートや集中力を高めるグロリアなど、
プリーストの支援スキルは数多いが、
それぞれに有効時間は異なり、使用者の魔力によっても変わるので、
全てを把握し、常に有効であるように保つのには、細かい注意が必要である。。
ジョーカーの意見にクレイはうなずき、更に補足する。
「確かに完全に切らさないっていうのは難しいけど、
 レベルの高いプリほどその辺に気をつけるから、
 ちょくちょく途切れるようなら、キャパシティ以上の負担がかかってると思ったほうがいいわな。」
高度な術をこなしてこそ、高レベルプリだしね。
と、ハイプリとしてのプライドをクレイは垣間見せたが、
ジョーカーの狙いは別のところにあったらしく、
それを無視して、話の矛先をかえた。
「もしくは、プリに問題があるかだよね。
 なあ、ヒゲ。」
「つまり、ワシに問題があるって言いたいんだな、ジョーカーwwwwwwwwwwww」
「ばれた?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

支援に徹する純支援プリはもちろん、
クレイのような魔法で攻撃に回るMEと呼ばれるタイプも、
耐久力は落ちるが、高い魔力と詠唱の速さを生かせるので、
PTの支援に回ることに問題はあまりない。
しかし、武器を振るい、自ら前衛に立つ殴りプリは、
その分、体も鍛えねばならず、どうしても魔力や詠唱速度が落ちる。
耐久力も他の前衛職に比べれば、かなり劣るが故に、
PTにはあまり向かないタイプであることは公然の事実であった。
痛いところをつつかれ、「ムキキ」と怒るヒゲを見て、調子に乗ってジョーカーが追撃に入る。
「プリの腕云々前に、殴りプリはないわー」
ヒゲは自分が殴りであることに誇りを持っていたが、
PTに向かないため、混ざりづらいのはPT狩りを好む彼の一番の悩みであり、
十分な支援を出来ないのを、ひそかに気にしている。
だが、それにへこたれないのが彼の良い所であり悪い所でもあった。
「殴りよりも、AXのがないわー」
「AXはありだけど、ジョカさんはないわー」
「お前らwwwwwwwwwwwwwwwww」
ヒゲがジョーカーの攻撃を打ち返すと、
クレイが即座に追従する。
こういうとき、彼らの連携は実に見事であり、
ジョーカーに味方はけして現れない。
「バランスAXを馬鹿にするな!
 何でも出来るけど、何にも出来ないぞ!」
「だから、AXじゃなくてジョカさんがないんだってば。」
「ほんと駄目な、ジョカは!」
ヒゲとクレイのPT攻撃はどんどん冴えて行き、
ジョーカーへの理不尽なたたきは延々と続く。
それを見ながら、ポールは思った。
「この連携を狩りに生かせばいいとおもうんだけどなあ。」
彼の意見は至極尤もであるが、
それが実行されることはおそらく、ない。

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