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V(ヴァカみたいにどうでも良いこと)を、 N(ねちねち)と書いてみる。 根本的にヴァイオリンとは無関係です。
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いきなれた、というのが困ってしまうのだが、
行きなれたイズルート留置所にたどり着くと、
早速、門番が駆け寄ってきた。

「遅かったじゃないか。困るよ、もっと早く来てくれなくちゃ。」
「はあ、すみません。いつもお手数おかけしてます。」
台詞の割りに、あまりすまなさそうではないハイプリを、
不機嫌そうににらみながら、門番は軽く舌打ちする。
「まったく、毎度のことだけどさ、
 もっと何とかならないのかい?」
「何とかなるならやってますがね。
 ご不満なら、ご自分で何とかしてみたらいかがですか。
 うちはいつでも身を引きますよ?」
「いや、すまなかった。これからもよろしくお願いしたい。」
犯罪者身元引受人にしては、
ハイプリの態度は大きかったが、
門番はあっさり引き下がった。
これは、クレイが身元引き受けは義理でやっているだけだとか、
既に門番とハイプリの間に力関係が出来てしまっているからというよりも、
誰にもどうしようもないというのが一番の理由である。
「で、奴らは?」
「何時ものところだ。」
促されて、中に入ると、早速留置所内が騒がしくなっているのが判った。
「出せー! こっから出せー! ボクは無実だー!」
「すみません! カツ丼はまだでしょうか!?」
聞きなれた声が建物全体に響き渡っている。
恨めしそうな警吏たちの目を一身に受け、
なれない新米剣士は居心地悪く身を縮めたが、
先輩ハイプリの方は意に介する様子もなく、すたすたと廊下を進んでいく。
歩くほどに声は大きくなっていき、
牢屋に放り込まれた二人を発見するのに時間はかからなかった。

「おい、馬鹿ども。 迎えに来たよ。」
「あ! クレイさん! 遅かったじゃないですか!」
「おはよー ベッキー
 いつも、すんません!」
妙な名前で呼ばれたことも、
迎えの姿を認めて騒ぎ立てるギルメンをも無視して、
クレイは担当警吏と話を進めた。
「じゃあ、連れて行っていいですかね?」
「ああ・・・何時もと同じで、証拠不十分で釈放ってことになってる。」
疲れきった風に、警吏が鍵をあけると、
待ちかねたようにAXが飛び出し、続いてのんびりと殴りハイプリが出てくる。
「やれやれ、やっと出られたよ!」
「次はカツ丼ぐらい出せよな!」
「ヒゲ氏!」
「すんませんwwwwwwww」
釈放されて愁傷にするどころか、危機感なく騒ぎ続けるギルメンをしかりつけ、
出したワープポータルに乗るように促す。
「ほら、乗った乗った。迷惑だから早く帰るよ。」
「へーい」
即座に任意の場所に移動できるワープポータルは、
アコライト系の得意スキルの一つだが、
今日ほど便利だと思うことは少ない。
「お邪魔しましたー」
と、形ばかりの挨拶を残し、一行は早々に退散した。

元の溜まり場に戻ると、
クレイは手持ちの文庫本でAXと殴りプリの頭をひっぱたいた。
「今月で3回目よ?
 一寸、回数多いです。自粛してください。」
「だから、ボクは無実ですって!」
「どうせ叩くなら、次は鞭でお願いします!」
「ヒゲ氏!」
無関係を訴えるAXと、全く反省の色の見えない殴りプリを、
もう一度づつ叩いた後、
自分の定位置であるベンチに座り、嘆くようにクレイは言った。
「で、今日は何やらかしたの。」
「そうですよ、一体何があったんですか?」
ハイプリが本気で怒っているわけではないのは判っていたが、
このままだと、また文庫本が小気味いい音を立てそうなのを感じて、
ポールが間に入る。
「俺とクレイさんが来る前に、なんかあったんですか?」
何とか穏やかに話を進めようとする彼の意を、
知ってか知らずか、問題児二人は、
「特に何も。」と、首をすくめた。

「何もなくて、逮捕されるわけないじゃないですか。」
「そうなのよ。まさか上着一枚脱いだだけで捕まるとはね!」
正に我が意を得たりと、殴りプリ・ヒゲが賛同する。
シルクハットにガスマスク、無駄に良いがたいと、
それだけで捕まりそうな出で立ちなのは、あくまで無視するつもりらしい。
一応ポールの所属するギルド、”ドスコイ喫茶”のギルマスで、
一部では有名な高レベルの殴りプリだが、
生憎、色々な意味で問題があり、騒ぎの6割は彼が発端である。
「誰でも上着の一枚や二枚、脱ぐじゃん?
それでターイホされるとは、おもわなんだwwww」
逮捕されたことを楽しそうに話す辺りに彼の性格が伺えるが、
そんなことには慣れっこになっているクレイが冷たく言い放つ。
「前例があるから、マークされてるんじゃね?」
「マジで? ヒャッホウ!
 ワシ、有名人wwwwwwwwwwwwwwwww」
マークされるだけのことをしていると、
割と直球の嫌味に、喜んで返す。
それがヒゲ氏の美点であり欠点である。
「全くもー ヒゲさんッたら。気をつけてくださいよ。」
「ごめんねwwwwwwwww」
困ったギルメンにポールは苦笑いしたが、
それですまない男が一人いた。

「ごめんねじゃないよ!
 お前は兎も角、何で一緒にいただけの我輩まで捕まえられなきゃなんないのさ!」
いい迷惑だと、憤懣遣る方ないのはアサシンクロスのジョーカー。
顔をゴブリン族の仮面で隠しているので、表情こそわからないが、
その口調から、怒っているのはよくわかる。
苛立って掻き毟ったのか、
萌葱色の髪がいつも以上にぐしゃぐしゃに逆立っていた。
ヒゲのよき相棒にして、問題児の片割れであり、
ヒゲの担当しない、残り3割の騒ぎを引き起こすのが彼の仕事でもあったが、
意外にもシャイで人見知りが激しい為、
外部を巻き込むことはあまり好まない。
したがって、今回は確実に巻き込まれただけなのだろう。
「大変だったねー
 いつも一緒だからって、まとめて逮捕されちゃたまらないよね。」
素直にクレイが賛同する。
ただ、彼女が続けた言葉と、
他のギルメンの感想は、あまりジョーカーに優しいものではなかった。
「でもさ、仕方のないことなんじゃないかな。ジョカさんだし。」
「ジョカさんなら、間違われますよね。」
「お前は存在自体が公然猥褻物だ!」
「ぶっ飛ばすぞ、お前ら。特にヒゲ。」
あまりに容赦ないギルメン二人と、
本来叱咤されるべき相方からの侮辱。
ジョーカーの立場は、今日も切ない。

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