V(ヴァカみたいにどうでも良いこと)を、
N(ねちねち)と書いてみる。
根本的にヴァイオリンとは無関係です。
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何とかイズルートに逃げ込んだものの、
ポールは入り口で力尽き、そのまま倒れた。
本来の力以上を使った為に、
彼が激しい呼吸困難に陥っている横で、
AXとアルケミは何事もなかったかのように旧友を暖めていた。
「いよう、ブラッド。久しぶりだな~」
「おう、ジョーカーも元気そうじゃないか。」
薄れ行く意識の中で、
ジョーカー知り合いなら変なのも当然かと、
ポールが納得している間にも、二人の会話は続く。
「ヒゲとは時々会ってるけど、お前は全然プロに来ないからな。
たまにゃ、こっちに出てくりゃいいのに。」
「イズになれると、プロの賑わいがきつくてなー
シャイな我輩としては、人ごみはなるべく避けたいのですよ。
つか、何だお前、その格好www製薬に嵌ってるとは聞いたけどwwww」
「今更だぞwwww俺は去年から立派なアルケミストだ。」
製薬面白すぎwww」
「流石www神と呼ばれた男wwwwなんでも出来ますねwwwwwwwww」
久しぶりの再会以上の無駄な大騒ぎを始めた二人組みに、
やはり知り合いらしいヒゲが混ざったら、どれだけ喧しくなるのだろう。
このまま、意識を手放してしまいたい気分にポールがなったのは、
疲労の為だけではなさそうだ。
しかし、大人しく、寝ていることは出来なかった。
「ブブブブブ」
水中で泡が浮かんでいるような音がしたかと思うと、
大気の空気が変わり、熱さを感じる暇もなく炎の矢が空から降ってきたのだ。
ファイヤーボルト。初級攻撃魔法の一つである。
「あちいいいいいいいいいいいい!」
慌てて転がって、体に付いた炎をもみ消す。
炎自体が魔力によって構成されたものなので、
自然のものより若干燃やす力が弱いのと、
服にも魔法による特殊加工を施されているため、
燃え上がることはなく、多少の焦げ目すらも付かなかったのだが、
熱はダイレクトに伝わってくる。
早速皮膚がヒリヒリと痛み始めたが、
直撃したのは背中だったので、手当てをするどころか様子を見ることも出来ない。
ジョーカーが赤ポーションをかけてくれて、ようやく落ち着くことが出来た。
「大丈夫かい、ポール君?」
「駄目だろフーミン、人に向けてボルト打っちゃー」
アルケミストがゼリー状の生き物を叱る。
フーミンという名前らしいその生き物は、不機嫌そうにぶくぶくと泡を吹き出した。
逃走においていかれたのが気に入らなかったらしい。
主を連れて行ってしまったポールに怒っているのか、
時々、威嚇するように体を膨らませたりしている。
確かに、小さな体では後を追いかけるのも大変だったろうが、
だからといって攻撃してこなくてもいいのではないか。
ダメージ自体は大したこともなく、
塗っても飲んでも効く万能薬ポーションのおかげですぐに良くなったが、
精神的ダメージはなくならず、
ポールは理不尽な思いでいっぱいになった。
そんなポールを余所に、ジョーカーとアルケミはのんびりと話を進める。
「何、お前ホムンクルスまで飼ってるの。
これって錬金術の最先端技術じゃなかった?
ちょっとかじっただけで扱えるのかよ?」
「作るだけなら、アルケミギルドから種買ってきて、
暖めて孵すだけだから、そんなに難しくないぜ。
面倒なのは、育成と言うこときかせることだけど、
その辺はまあ、俺は放任主義だからな。」
「んで、使えるの?」
「いやー あっという間に廃れた技術だけあって、あんまり。」
「だろうなあ。」
人工的に生命を作り出し、戦闘に加えるホムンクルスの技術は、
発表された当時こそ、もてはやされ、
アルケミストの代名詞でもあった。
人工的に生命を作り出すということについて、
生命の倫理から、その権利まで、大論争を呼んだが、
技術が発表された以上、使わないアルケミストは居らず、
狩りに行かないアルケミストまで、持っているのが当たり前だった。
しかし、実際に出回ってみると、
意外にコストが掛かる割りに、使いづらく、
主以外の命令や、支援魔法を一切受け付けないどころか、
主自身でも、うまく言うことを聞かせるのが難しく、
役に立つどころか、問題を起こす方が多かったため、
段々飽きられてしまい、今ではいないよりまし程度の扱いになってしまった。
ごく一部にはホムンクルスを手足のように扱うアルケミストもいるが、
今では、戦闘にも使えるちょっと珍しいペットと言う見方が一般的である。
「それでも、アルケミストは基本戦闘能力が低いから、
役に立たないことはないんだけどさ。」
「まあねえ。」
「ところで、これ誰よ。見ない顔だけど。」
アルケミストがようやく、ポールの存在に反応した。
首根っこをつかまれ、何メートルも引き摺られて運ばれたにもかかわらず、
ホムンクルスがボルトを打ち込むまで、一切興味を示さなかったあたり、
流石ジョーカーの知り合いと言うところだろうか。
「ああ、ポール君。うちの新人さんだよ。」
ジョーカーが説明すると、アルケミストは大げさに驚いた。
「新人なんて、よく入ったな。
クレイさんでラストだと思ったのに。」
「そのクレイさんがどっかから拾ってきて、うちで面倒見てるんだよ。」
「うはwwwwあの人まだいるのかよwwww
さっさと古巣に戻ればいいのに、物好きな。」
「何の勘の言ってヒゲと仲良いからなあ。
居心地良いんだって、ボクの存在以外。」
「確かにお前の存在は嫌だろうなあ・・・」
「否定しろよ、お前・・・」
怒ってジョーカーがそっぽを向き、
話が途切れると、スッとアルケミストが座ったままのポールに手を伸ばしてきた。
反射的にその手を握り返すと、思った以上に強い力で引っ張られ、
そのまま、立ち上がらせられる。
「うちのフーミンがご免よ。大丈夫かい?」
「ええ、まあ、なんとか。」
研究室に閉じこもって実験ばかりしているというアルケミストにしては、
ゴツゴツした手の感触にポールが戸惑っていると、
ジョーカーが友達を紹介してくれた。
「ドスコイを結成する前に、僕らが入ってたギルドで友達だった奴。」
「ブラッド・ピジョンってんだ。よろしくな。」
名乗ったアルケミストは、ジョーカーよりも背が高く、すらっとしている。
青み掛かった灰色の髪が柔らかくゆれ、
それに合わせたかのようなエメラルドグリーンの瞳が賢しげだ。
ポールの瞳もグリーンだが、もっとずっと明るい色なので、同じように見えることはない。
それとも、アルケミストという職種がそう見せているのだろうか。
とりあえず、ポールは改めて差し出された手を握り返した。
「ポール・スミスです。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。そんでこれは俺のホムンクルスのフーミン。」
主に抱きかかえられ、謝るように促されるが、
ホムンクルスはプッと泡を一つ吹き出しただけだった。
まだ、怒っているらしい。
「これが、ホムンクルスなんですか?」
「そう、バニルミルトの原種。」
ホムンクルスは、
回復を得意とする幼女型のリーフ、
防御を得意とする羊に良く似たアミストル、
物理攻撃を得意とする鳥のようなフィーリル、
そして魔法攻撃を得意とするゼリー状のバニルミルトと、
四種に分布され、更に原種と亜種があるので、
合計八種類が存在する。
「最近育て始めたんだけど、ちっとも言うこと聞かないし、
わがままだし、大変でさ。」
「へぇー 本物のホムンクルスってはじめて見ました。」
ホムンクルスはいるだけで結構なエネルギーを消費するため、
餌が切れると存在を維持できずに消えてしまう。
また、迷子になったり、
黙っていると勝手に近場のモンスターや、
他人のペット、下手をすると人間まで襲うので、
ともかく、放っておけない。
そこでホムンクルスを休眠状態にし、
小さく縮める”安息”という技術が開発された。
大半のアルケミストが戦闘中以外、ホムンクルスを安息状態に置くので、
街中でアルケミストを見かけても、ホムンクルスまでは見ることが少ない。
ボルトを打ち込まれたのは忘れることにして、
ポールはゼリー状の体をそっと突っついてみた。
見たとおり、ひんやりとして軟らかい。
思わずポールは微笑んだが、ホムンクルスの方は気に入らなかったらしく、
主の腕の中でプーッと膨れ上がった。
「全くもう、しょうがないなあ。ジョカ並みに手が掛かるぜ。」
「ヒゲ並みにだろ。それよりお前、どうしたんだよ。」
手の掛かるという点ではどちらも同じぐらいなのだが、
そんな事実は無視して、ジョーカーは代名詞をヒゲに押し付けた。
「お前のほうこそ、こっちに来ないのに、
今日は一体どういう風の吹き回しだ?」
「ああ、そうだった。ヒゲはどうしたんだよ?
今日は一緒じゃないのか?」
俺は奴に呼ばれてきたんだと、ブラッドは言い、
ポールとジョーカーは顔を見合わせた。
「奴は今忙しくて、お前に連絡する余裕なんかないはずだけどな?」
「そうなのか?
でも、借金返すから取りに来いって、連絡が来たんだけど。」
「奴に金貸したの、お前かー」
よく考えれば、露店で欲しい物を見つけたからといって、
即座にお金を借りられるところは少ない。
政府には取引を禁止されているような闇金業者か、
本当に親しい友人か。
その点では、親しく、手持ちも豊富なブラッドはうってつけの相手である。
ジョーカーやヒゲと違って財布の紐が硬いというわけではないのだが、
使った分以上にしっかり稼いでいるので、貸すのに困るということもないだろう。
「じゃあ、そのうち戻ってくるんじゃないのかね?
ボクは特に何も聞いてないけど、連絡がいったんならそうなんでしょ。」
「確かにいつもより、早いなとは思ったんだけど。」
「クレイさんが一緒だからねー」
「ああ、あの人に任せておけば安心だわ。」
何で、あんな普通の人がお前のギルドにいるんだか不思議だよと、
本当に不思議そうにブラッドが言い、
うるさいなあ、ボクだって知らないよとジョーカーが不貞腐れる。
ヒゲ達が戻るのなら、まず溜まり場に来るだろうと、
三人が向かうと、果たしてそこにはヒゲとクレイの姿があった。
だが、しかし。
『真っ白に・・・燃え尽きてる・・・』
『ここで早く金返せって言ったら鬼かな・・・』
『一体、何があったんですか・・・』
思わず声を出すのをも躊躇うほどに、
力尽きた二人がうずくまっていた。
いつもの溜まり場のはずが、空気までどんよりと沈んで見える。
「まいったな・・・さて、どうするか。」
ブラッドがジョーカーとポールを振り返る。
「やっぱり、ここは病院より、葬儀屋に連絡すべきかね?」
「縁起でもないこと言わないでください!!!!!!」
静かな港町であるはずのイズルートに、
今日も絶叫が上がる。
ドスコイメンバーがいる限り、この町に平穏は来ないかもしれない。
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シプ
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非公開
自己紹介:
適当6割、捏造3割。
残り1割に真実が混ざってないことも、
ないかもしれない。
取り合えず、閲覧は自己責任で。
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