V(ヴァカみたいにどうでも良いこと)を、
N(ねちねち)と書いてみる。
根本的にヴァイオリンとは無関係です。
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年末である。
冒険者になるために家を出てきたポールにとっては、
初めて家族以外と過ごす年越しになる。
この時期になると、冒険者も掃除や買出しなど、
狩り以外にすることも多く、
天津から流れてきた習慣、「年賀状」を出したりと、
師走だけあって、何かと忙しい。
ドスコイメンバーも、クレイに散々せかされたが、
何とか各自25日までにやるべきことを済ませた。
いつもは大晦日まで大掃除をあと伸ばしにするヒゲも、
年末の仕事自体を放棄するジョーカーも、
今年はゆっくりとポールの家でTVを見ている。
通信設備をしょっちゅうモンスターに壊されるため、
他都市との連携はうまくいかず、
チャンネルも少ないが、
やっぱりTVは数少ない娯楽の一つとして欠かせない。
年末らしく、特番ばかりで、
いつも見ている番組を見られないのは少しさびしいが、
大勢でゆったりとしたときを過ごしている今は、
予備知識の要らない、こちらの方がありがたい。
3人でまったりと物まね大会を見ていると、
クレイがお茶を入れてきてくれた。
「ポール君、本当に帰らなくて良かったの?」
やわらかい紅茶の香りと、
甘いミルクの湯気にうっとりしていると、
クレイが何度も済んだ話を蒸し返した。
「だから、たった半年足らずで帰るわけにはいかないって、
言ったじゃないですか。」
ミルクティーをすすりながら、
ポールも同じ台詞をもう一度返した。
「立派な冒険者になるって家を出てきたのに、
1年も経たずに帰ったら、逆に怒られちゃいますよ。」
「そりゃまあ、そうかもしれないけどさ。」
口では同意しながらも、
いまだ納得いかなそうに、クレイがため息をつく。
「帰れるときに、帰ったほうがいいと思うけどねえ。」
「まあまあ、便りがないのは元気な証拠って言いますし、
ポール君にも色々あるんだから、好きにさせてあげればいいじゃないすか。」
ジョーカーがポールの肩を持ち、
クレイがもう一度ため息をつく。
いつ何があるかわからない立場であるからこそ、
家族は大事にしなければと言う、クレイの意見はわかるが、
一大決心の元に家を出てきたポールとしては、
そうそう、簡単に帰るわけにもいかない。
年を重ねれば重ねるほど、子は親元から離れていくのだから、
こういう年越しもあると、己も親も受け入れなければならないだろう。
それに、家族にあえない寂しさよりも、
ギルメンと正月を過ごす楽しさのほうが、勝っていた。
家を出て一人立ちしたことが、改めて誇らしかったし、
いつもと違う雰囲気も、気分を高揚させる。
ポールが全く、自分の話に興味を持っていないのを認め、
クレイが三度目のため息をついた。
「まあ、いまさらあれこれ言ってもしょうがないか。
年賀状はちゃんと出したのよね?」
「ばっちりです。」
二・三年前から流行始めた天津の習慣は、
少し面倒ではあるが、もらうとやっぱり嬉しいし、
久しく会っていない知人の近況を知ることも出来て、
なかなか、良いものだとポールは思っていた。
もっとも、ドスコイメンバーの場合、
家族と、地元の友人何人かに書くだけなので、
かえってくる数も高が知れているのだが。
漸く諦めが付いたらしく、
クレイは席に着くと、TVに興味を示した。
「何、芸人さんも出てるわけ?」
「そうみたいですよー」
ポールがクレイにお茶菓子を勧めると、
代わりにジョーカーが手を伸ばす。
「芸人ブームだけあって、あちこちに出てるよね。」
クッキーを頬張りながら、ジョーカーが言った。
「そもそも数が多すぎて、ボク、あんまり覚えられないんだよねー」
「まあ、みんな同じような顔してるしね。」
「いや、それは流石にないだろう。」
ジョーカーのフリに、クレイがぼけ、ヒゲが突っ込むという、
いつもと違う流れが見れるのも、年末ならではなのだろうか。
そんなことを考えながら、ポールがお茶をすすっていると、
物まねをしていたはずの芸人が、
一区切り付いたところで服を脱ぎ、パンツ姿になった。
『でもでもでもでも、そんなの関係ねえ!』
物まねから上手に自分の持ちネタへと繋げるさまを、
ポールが面白く見ていると、
ジョーカーが「あー」と、感心したように言った。
「このネタ見るの、なんか久しぶりな気がする。」
「一時期、大ブームでしたけどね。」
ジョーカーの感想にポールも同意する。
ポールは特別好きなわけでもなかったが、
最盛期には一日1回は必ず見るくらい、
TVに出ていた芸人だったし、お菓子のCMにも出ていた。
しかし、最近ではたまに見るなというくらいで、
レギュラーで出ている番組も少ない。
「あんまりやりすぎるとしつこくなるし、飽きられるもんな。」
「そもそも、このネタ、親に受けが良くなかったしね。」
ヒゲが珍しくもっともらしい意見を述べ、
クレイが一児の親らしい面を見せる。
「そりゃまあ、そうでしょうねえ。」
「お説教の最中に『でも、そんなの関係ねえ!』とか言われてみ?
その腹立たしさといったら、もう。」
「ボクならゲンコツですな。」
ポールが親でも嫌だと同意し、
クレイが子育ての面倒さをぼやくと、
ジョーカーが独身の気軽さで、率直な感想を述べた。
ちゃお君も、まねしてたんですか?
いや、奴はやらなかったけど、周りの子がなー
確かに彼はやらなさそうですな等と、
クレイの可愛い養子に話が移ろうとし始めたとき、
ボソッと、ヒゲがつぶやく。
「それじゃあ、お説教の最中に『生まれたての子馬!』とかやってたワシは・・・」
「よく、学校追い出されなかったね。」
「お前の担任じゃなくてよかったと心底思うわwwwwwwww」
クレイとジョーカーの突込みがほぼ同時に入った。
ポールは何も言わなかったが、その情景がありありと想像出来たので、
無言のまま、ヒゲの担任に同情する。
「実際、妹がやったときには、親が担任に呼び出されて、
『お嬢さんは、大丈夫なんですか?』と、真剣に心配されたからな!」
「その半分でもいい、作り話だと信じたい。」
「兄妹揃って駄目すぎるwwwwwwwwwww」
再びクレイとジョーカーの同時突込みが入り、
ポールはもう、ヒゲについて考えるのをやめた。
メンバーがアホな会話をしている間にも、番組はどんどん進行し、
採点に入っている。
芸人は得点こそ悪くはなかったが、次のステージに進むことは出来なかった。
大げさに残念がっている、その様子を見ながら、
ポールはなんとなく、思ったことを口にする。
「それにしても、何で海パンなんでしょうね?」
海パン姿はこの芸人の特徴の一つであったが、
この季節は辛いものがあるだろうに。
ネタに体を張らねばならない芸人の厳しさに、
ポールが人並みの同情していると、
「そもそも、脱ぐ意味があんまりないしね。」
と、ジョーカーが身もふたもない事を言った。
そこで、クレイがふっと思い出す。
「そういえば、この人、コモド出身らしいよ。」
幻想の島、コモド。
常夏の島としても知られ、
その気候や自然の美しさに惹かれ、
数多くの旅人が訪れるリゾート地。
そして、ヒゲの出身地であった。
「あー」
「あーね。」
「なるほどねー」
三人の視線が一気にヒゲに集まる。
「ちょwwwwwwwwww何その態度wwwwwwwww
何をそろって納得してるんですかwwwwwwwww」
ヒゲが抗議するが、返ってジョーカーが吹き出す。
「言わなきゃわかんないのかwwwwお前はwwwwww」
「黙れwwwwジョーカーwwwwwwwwwww」
二人のどうしようもない喧嘩が始まり、
ポールが悲鳴を上げた。
「ちょっと、やめてくださいよ、二人とも!
お隣に迷惑かかっちゃうじゃないですか!」
しかし、ポールの制止を無視し、
狭い部屋にヒゲの怒声が響く。
「ワシはパンツ姿になんぞならん!
ちゃんと全部脱ぎます!!!!!!!!1」
殴りあうヒゲとジョーカー。
そして、それを止めようと同じぐらい暴れ始めたポールを眺め、
クレイは誰に言うこともなく、つぶやいた。
「さて、お茶のお替り入れてくるか。」
今日は大晦日。
今年も無事に騒がしく終わりそうである。
冒険者になるために家を出てきたポールにとっては、
初めて家族以外と過ごす年越しになる。
この時期になると、冒険者も掃除や買出しなど、
狩り以外にすることも多く、
天津から流れてきた習慣、「年賀状」を出したりと、
師走だけあって、何かと忙しい。
ドスコイメンバーも、クレイに散々せかされたが、
何とか各自25日までにやるべきことを済ませた。
いつもは大晦日まで大掃除をあと伸ばしにするヒゲも、
年末の仕事自体を放棄するジョーカーも、
今年はゆっくりとポールの家でTVを見ている。
通信設備をしょっちゅうモンスターに壊されるため、
他都市との連携はうまくいかず、
チャンネルも少ないが、
やっぱりTVは数少ない娯楽の一つとして欠かせない。
年末らしく、特番ばかりで、
いつも見ている番組を見られないのは少しさびしいが、
大勢でゆったりとしたときを過ごしている今は、
予備知識の要らない、こちらの方がありがたい。
3人でまったりと物まね大会を見ていると、
クレイがお茶を入れてきてくれた。
「ポール君、本当に帰らなくて良かったの?」
やわらかい紅茶の香りと、
甘いミルクの湯気にうっとりしていると、
クレイが何度も済んだ話を蒸し返した。
「だから、たった半年足らずで帰るわけにはいかないって、
言ったじゃないですか。」
ミルクティーをすすりながら、
ポールも同じ台詞をもう一度返した。
「立派な冒険者になるって家を出てきたのに、
1年も経たずに帰ったら、逆に怒られちゃいますよ。」
「そりゃまあ、そうかもしれないけどさ。」
口では同意しながらも、
いまだ納得いかなそうに、クレイがため息をつく。
「帰れるときに、帰ったほうがいいと思うけどねえ。」
「まあまあ、便りがないのは元気な証拠って言いますし、
ポール君にも色々あるんだから、好きにさせてあげればいいじゃないすか。」
ジョーカーがポールの肩を持ち、
クレイがもう一度ため息をつく。
いつ何があるかわからない立場であるからこそ、
家族は大事にしなければと言う、クレイの意見はわかるが、
一大決心の元に家を出てきたポールとしては、
そうそう、簡単に帰るわけにもいかない。
年を重ねれば重ねるほど、子は親元から離れていくのだから、
こういう年越しもあると、己も親も受け入れなければならないだろう。
それに、家族にあえない寂しさよりも、
ギルメンと正月を過ごす楽しさのほうが、勝っていた。
家を出て一人立ちしたことが、改めて誇らしかったし、
いつもと違う雰囲気も、気分を高揚させる。
ポールが全く、自分の話に興味を持っていないのを認め、
クレイが三度目のため息をついた。
「まあ、いまさらあれこれ言ってもしょうがないか。
年賀状はちゃんと出したのよね?」
「ばっちりです。」
二・三年前から流行始めた天津の習慣は、
少し面倒ではあるが、もらうとやっぱり嬉しいし、
久しく会っていない知人の近況を知ることも出来て、
なかなか、良いものだとポールは思っていた。
もっとも、ドスコイメンバーの場合、
家族と、地元の友人何人かに書くだけなので、
かえってくる数も高が知れているのだが。
漸く諦めが付いたらしく、
クレイは席に着くと、TVに興味を示した。
「何、芸人さんも出てるわけ?」
「そうみたいですよー」
ポールがクレイにお茶菓子を勧めると、
代わりにジョーカーが手を伸ばす。
「芸人ブームだけあって、あちこちに出てるよね。」
クッキーを頬張りながら、ジョーカーが言った。
「そもそも数が多すぎて、ボク、あんまり覚えられないんだよねー」
「まあ、みんな同じような顔してるしね。」
「いや、それは流石にないだろう。」
ジョーカーのフリに、クレイがぼけ、ヒゲが突っ込むという、
いつもと違う流れが見れるのも、年末ならではなのだろうか。
そんなことを考えながら、ポールがお茶をすすっていると、
物まねをしていたはずの芸人が、
一区切り付いたところで服を脱ぎ、パンツ姿になった。
『でもでもでもでも、そんなの関係ねえ!』
物まねから上手に自分の持ちネタへと繋げるさまを、
ポールが面白く見ていると、
ジョーカーが「あー」と、感心したように言った。
「このネタ見るの、なんか久しぶりな気がする。」
「一時期、大ブームでしたけどね。」
ジョーカーの感想にポールも同意する。
ポールは特別好きなわけでもなかったが、
最盛期には一日1回は必ず見るくらい、
TVに出ていた芸人だったし、お菓子のCMにも出ていた。
しかし、最近ではたまに見るなというくらいで、
レギュラーで出ている番組も少ない。
「あんまりやりすぎるとしつこくなるし、飽きられるもんな。」
「そもそも、このネタ、親に受けが良くなかったしね。」
ヒゲが珍しくもっともらしい意見を述べ、
クレイが一児の親らしい面を見せる。
「そりゃまあ、そうでしょうねえ。」
「お説教の最中に『でも、そんなの関係ねえ!』とか言われてみ?
その腹立たしさといったら、もう。」
「ボクならゲンコツですな。」
ポールが親でも嫌だと同意し、
クレイが子育ての面倒さをぼやくと、
ジョーカーが独身の気軽さで、率直な感想を述べた。
ちゃお君も、まねしてたんですか?
いや、奴はやらなかったけど、周りの子がなー
確かに彼はやらなさそうですな等と、
クレイの可愛い養子に話が移ろうとし始めたとき、
ボソッと、ヒゲがつぶやく。
「それじゃあ、お説教の最中に『生まれたての子馬!』とかやってたワシは・・・」
「よく、学校追い出されなかったね。」
「お前の担任じゃなくてよかったと心底思うわwwwwwwww」
クレイとジョーカーの突込みがほぼ同時に入った。
ポールは何も言わなかったが、その情景がありありと想像出来たので、
無言のまま、ヒゲの担任に同情する。
「実際、妹がやったときには、親が担任に呼び出されて、
『お嬢さんは、大丈夫なんですか?』と、真剣に心配されたからな!」
「その半分でもいい、作り話だと信じたい。」
「兄妹揃って駄目すぎるwwwwwwwwwww」
再びクレイとジョーカーの同時突込みが入り、
ポールはもう、ヒゲについて考えるのをやめた。
メンバーがアホな会話をしている間にも、番組はどんどん進行し、
採点に入っている。
芸人は得点こそ悪くはなかったが、次のステージに進むことは出来なかった。
大げさに残念がっている、その様子を見ながら、
ポールはなんとなく、思ったことを口にする。
「それにしても、何で海パンなんでしょうね?」
海パン姿はこの芸人の特徴の一つであったが、
この季節は辛いものがあるだろうに。
ネタに体を張らねばならない芸人の厳しさに、
ポールが人並みの同情していると、
「そもそも、脱ぐ意味があんまりないしね。」
と、ジョーカーが身もふたもない事を言った。
そこで、クレイがふっと思い出す。
「そういえば、この人、コモド出身らしいよ。」
幻想の島、コモド。
常夏の島としても知られ、
その気候や自然の美しさに惹かれ、
数多くの旅人が訪れるリゾート地。
そして、ヒゲの出身地であった。
「あー」
「あーね。」
「なるほどねー」
三人の視線が一気にヒゲに集まる。
「ちょwwwwwwwwww何その態度wwwwwwwww
何をそろって納得してるんですかwwwwwwwww」
ヒゲが抗議するが、返ってジョーカーが吹き出す。
「言わなきゃわかんないのかwwwwお前はwwwwww」
「黙れwwwwジョーカーwwwwwwwwwww」
二人のどうしようもない喧嘩が始まり、
ポールが悲鳴を上げた。
「ちょっと、やめてくださいよ、二人とも!
お隣に迷惑かかっちゃうじゃないですか!」
しかし、ポールの制止を無視し、
狭い部屋にヒゲの怒声が響く。
「ワシはパンツ姿になんぞならん!
ちゃんと全部脱ぎます!!!!!!!!1」
殴りあうヒゲとジョーカー。
そして、それを止めようと同じぐらい暴れ始めたポールを眺め、
クレイは誰に言うこともなく、つぶやいた。
「さて、お茶のお替り入れてくるか。」
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HN:
シプ
性別:
非公開
自己紹介:
適当6割、捏造3割。
残り1割に真実が混ざってないことも、
ないかもしれない。
取り合えず、閲覧は自己責任で。
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