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V(ヴァカみたいにどうでも良いこと)を、 N(ねちねち)と書いてみる。 根本的にヴァイオリンとは無関係です。
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ハイプリ二人が留守中の狩場として、
ジョーカーが選んだのは、地図番号P02。
首都プロンティアから北東の、
植物系モンスター・マンドラゴラが多く生息する、
通称ゴラァ森である。

マンドラゴラは非常に弱いモンスターで、
それこそポールのような駆け出しが通う低級モンスターMAPであり、
プリーストの回復・支援魔法がなくても問題なく、
万一何かあっても、ジョーカー一人で十分すぎるほど対処できる。
また、マンドラゴラからは糖分を多く含んだ茎が採集でき、
これがアルコールの材料として良い値段で売れるので、
所持金を増やすのに丁度良い。
必要なものは、ちょっとした傷を負ったときに使う多少の回復剤や、
消耗品店に安価で出回っている体力増強剤があれば便利といった程度で、
出費も大変少なくすむ。
ただ、厄介なことにマンドラゴラはその長い触手をもちいて、
遠距離から攻撃してくる。
近距離での攻撃を得意とする剣士には苦手な相手だが、
そもそも、全ての敵が至近距離に入るまで攻撃してこないとは限らない。
遠距離から攻撃してくる相手の対処も、
当然、学ばなければならないことの一つだ。
マンドラゴラは全体的な生息数がちょっと少なく、
草木に隠れているので見つけ辛いなどと、デメリットもいくつかあるが、
ポールの戦闘訓練にちょうどよく、今後の資金もしっかり稼げると、
正に今の二人にはうってつけの狩場であった。

「更にレアまで出るときたら、言うことないよね。
 我ながらナイスチョイス!
 こんな良い狩場につれてきてあげるボクって、本当いい先輩だなあ~」
マンドラゴラの蔓を振り払いながら、自画自賛するジョーカーに、
まとわりつくクリーミーを切り捨て、ポールが尋ねる。
「ここ、レアも出るんですか?」
「でるでる。Mクラスのミディアムストーン(medium stone)がでるよー」
ミディアムストーン。
一般に魔応石と呼ばれる、魔力に反応する鉱石の一種であり、
魔法の媒体としてよく使用される。
魔応石には、魔法職がよく使うジェムストーンのように、
魔法の反動を吸収し、術者の負担を和らげる消耗品から、
内に術式を書き込まれ、物や人に効力をなすもの、
周りのエネルギーを吸収し蓄えるものと、
様々な使用方法があり、それにあわせて質、形状も異なる。
その中で特に、状態異常への耐性や武器の強化など、
戦闘を有利にする術式を受け付ける魔反石が、
ミディアムストーン、通称MSと呼ばれる。
イミューン肩、闇鎧等という装備の呼び方は、
取り付けられたMSの種類を示すものであり、
その効力は非常に高く、
わずかな差が生死を分ける冒険者たちの間では、
当然持っていてしかるべきものとされるほど、重要なものだ。
しかし、他の魔応石のように人工的に作成できないため、
いざ手に入れようとすると、
露店など人の手を介して中古品等を買うか、
モンスターが所有しているものを討伐などで手に入れるかの、
どちらかになってしまう。
過去には自然界の鉱脈から掘り出された事もあったが、
人が安全に入ることの出来る鉱山の多くが掘りつくされてしまい、
今では、討伐以外からの入手は金脈を発見するより難しいからだ。
因みに、モンスターがMSを持っている確率は、
珍しい(rare)アイテムと呼ばれるだけのことはあって、
通説によると0.02%と言われ、非常に低い。
MSの種類によって書き込める術式が異なるので、
術式の需要や、市場に出回っている全体数によって値段は大きく左右されるが、
基本的に希少価値の高い品であり、
百万単位の値段が付くことも少なくない。

「でも、マンドラゴラって弱いじゃないですか。
 そんなモンスターが落とすMSなら、大したものじゃないんじゃないですか?」
「それがそうでもないんだな、これが。」
モンスターには奇妙な性質があって、
何故か同じモンスターは同じ種類のMSを落とす。
しかし、同じMAPに生息していても、
種族が異なると所有しているMSの種類も異なり、
他のモンスターとけして重複しないのだが、
では、MSの違いとは何かといえば、書き込める術式の違いである。
ここが重要なポイントで、例え低レベルのモンスターが落とすMSであっても、
書き込める術式が効果的なものであれば、良い値段がつく。
逆に、いかに強いモンスターが落とすMSであろうと、
受け付ける術式が悪ければ、ごみとして扱われることもある。
どんなに希少であっても、価値を決めるのは、
書き込める術の有効性なのだ。
そうひとしきり講釈をたれると、ジョーカーは、こう締めくくった。
「そして、マンドラゴラの落とすMS・ウィンディーの効果は、
 “風属性のモンスターに20%の攻撃力UP”。
 今の相場は1.5から2Mと、売ってよし、使って良しの優秀品なのさ~」
「へえー 出ると良いですねえ。」
楽しそうなジョーカーの話に全く期待せず、
次のマンドラゴラに向かいながら、口先だけでポールは答えた。

5000匹に1匹、出るかでないかの話など当てにできないし、
百万単位のアイテムが手に入るかもしれないと言うこと自体が、
にわかに信じがたく、うそ臭い。
そんな現実離れした話よりも、気になることはいくらでもあった。
「それにしても、どうして同じモンスターは、同じMSを持っているんでしょうね?」
「そりゃ・・・あれだよ。同じモンスター同士、持ちたくなるMSが同じなんじゃないかな?
 モンスターにも、好みってもんがあるだろうしさ。」
と、ジョーカーが自信なさそうに答えた。
「そもそも、何でMSなんかもってるんです?」
「うーん・・・モンスターには立ち入り禁止地区がないから、
 ボクらが入れない所から、拾ってくるんじゃないの?」
冒険者の資格を取ると、一般市民が立ち入ることを禁止された、
危険区域への立ち入りを許可される。
それでも資源の保護、モンスターの巣があるなどの理由で、
進入禁止を指定された場所も多い。
 「でも、マンドラゴラは動きませんよ?」
マンドラゴラも、伊達に植物系モンスターではない。
あちらこちらに蔓は伸ばしても、本体は地面にしっかりと根を張っている。
「動けないのに、どうやってMSを拾ってくるんです?」
「そんなの知らないよ! 
 根を伸ばした先で見つけるとか、ともかく、なんかしてるんだよ!」
初心者のポールに見事に揚げ足を取られ、ジョーカーが怒鳴る。
「大体、そんなことはボクの専門外だよ!
 モンスターの生態とかはセージの人に聞いてよ!」
専門的な知識は、専門の相手に。
簡単なようで、結構重要だ。
「それよりさ、もっとAXにこそ聞くべき事があるでしょ~」
「と、いうと?」
「毒のこととか、敵の攻撃のよけ方とか、色々だよ。」
どちらも素早い攻撃を常とし、一撃必殺に長けたアサシンならではの話題だが、
今ひとつ、ポールにはピンとこないようだ。
「毒の調合なんて、難しすぎてできそうにないですし、
 攻撃のよけ方と言ってもなあ。」
いいながら、盾の中心でマンドラゴラの蔓を受け、
そのまま前進し、本体を切り捨てる。
「下手によけるより、ちゃんと盾で受けたほうが、
 結果的に被害が少ないことが多いんですよねー」
「やっぱり君、槍向きだよ。」
諦めたようにつぶやくと、別のマンドラゴラにジョーカーは向かった。

AXのつまらなそうな背中をみて、対応が冷たかったかと、
ポールは反省し、別の話題を探す。
「そういえば、アサシンって暗殺者って意味ですよね?
 ジョカさんも、実は裏でそういう仕事を引き受けたりしてるんですか?」
ポールは以前から気になっていたこととして、
至極真剣に聞いたのだが、とたんにAXは吹き出した。
「あのねえ、本当にそんな仕事してたら、
 暢気にこんなところで狩りなんかしていられないよ。
 暗殺って言ったら、殺人だよ、さーつーじーんー」
ジョーカーはさも馬鹿にしたような返事をし、
ポールは「ジョーカーに気を使っても不快しか返ってこない。」
という、クレイの言葉を思い出した。
「昔、本当にそういう仕事をしていた人の技術を、
 対魔物用に改良して使ってるから、そのままアサシンって呼ばれているだけさ。
 名前がないと不便だし、短剣使いじゃなんか変だしね。
 要は他職と区別するための通称だよ、通称。」
そもそもアサシン志望者が、まず志す職業名がシーフ、つまり盗賊である。
彼らが覚える技術は、短剣から毒の扱いに、敵からの逃げ方、隠れ方、
アイテムの盗み方と、確かに盗賊らしいものばかりだが、
名前どおりの盗賊家業であったら、たちまち政府に通報され、
ギルドごとつぶされてしまう。
あくまでモンスターを相手にすることが前提の、便宜上の職名であった。
「ようは、パチモンってことですか。」
「そうだけど、ほかに言い方なかったかな、ポール君。」
偽者どころか、まがい物呼ばわりされ、
AXは仮面の下で眉をひそめた。

ハイプリ二人の影響か、このおっとりとした後輩も、
ジョーカーへの対応が攻撃的になりつつあるようだ。
「全くもう。みんなして馬鹿にするけど、
 ボクらの技は攻撃以外にも、非常に有効なんだ。
 スティールだって、するとしないじゃ収入的に大違いなんだよ?」
モンスターとの戦闘はお互い命がけである。
激しい交戦の間に、人間にとって価値のある鱗や角、
隠し持っているアイテムなどが傷ついてしまうことも多い。
そうなる前に、モンスターから奪い取る技術を総称してスティールと言う。
戦いながら相手の懐に潜り込まなければならないため、
非常に危険な高等技術であり、すばやい動きを旨とするシーフ系ならではのスキルである。
ジョーカーは喋りながらも、蔓をよけながら懐に入り、
その内に隠した新芽を盗み取った。
「こういう細かいことは、ポール君の性格に合わなさそうだけどね。」
「そうかもしれませんねー」
急所だけを潰すジョーカーと正反対に、ぐちゃぐちゃに叩き潰したマンドラゴラの死骸から、
使えそうな茎を引っ張り出し、ポールが答える。
自分の話に全く乗ってこない後輩が戦利品をアイテム袋にしまうのを手伝いながら、
ジョーカーはブツブツ言った。
「こういう作業が、後々大きく響くってのに。」
「そりゃ、そうかもしれませんけど。
 しっかし、こんなものが高く売れるなんて信じられないなあ。」
ポールからみれば、少し太めのただの草の茎である。
一つ1000z近い値段がつくとは、とても思えない。
「一体、どうやって、何に使うんです?」
「ええと、普通の植物より沢山糖分を含んでいるから、
 それを抽出して、アルコールにするとか・・・
 これも詳しい話はアルケミストの人に聞いて。」
また、細かい突込みを受けてはかなわないと、ジョーカーは早々に話を切り代える。

「それより、これをどうやって売るかが問題だよ。
 うまく、買取が出てるといいけどなあ。」
「何時もの商人さんじゃ、駄目なんですよね?」
普段、ポール達が拾ってきた戦利品は、
収集商人と呼ばれる、冒険者専門の買取人に引き取ってもらっている。
ポールから見れば、ただのガラクタや石ころでも、
それぞれ使い道があるらしく、適当な値段をつけて買い取ってくれるのだが、
今回はそれではいけないらしい。
案の定、AXは首を振った。
「駄目だよ、あいつらは国が決めた金額でしか買い取ってくれないもん。
 国ときたら、未だに金額の修正してないから、
 露店じゃ1,000zの値段がつくものでも、奴らにゃゴミとして扱われるぜ。」
魔術や薬品の技術は日々進歩している。
過去には使用方法がなく、ゴミにしか過ぎなかったものから、
強力なアイテムが生まれることもある。
草の茎からアルコールを抽出する方法自体はかなり昔からあったものだが、
アルコールを原料とした薬品から強力な攻撃方法が発見された為に、
需要が一気に上がり、値段も跳ね上がった。
こういう変化があると、
個人で出す露店や買い取り依頼にも影響して相場が動くが、
国の指定を受けて商売をしている商人達は、
過去の値段でしか買い取ってくれないそうだ。
「知り合いにアルケミストがいると、こういうときに便利なんだけどなー
 とりあえず、狩り終ったら首都に行って、依頼申し込み掲示板覗いてみるか。」

ルーンミッドガッツ王国首都・プロンティアの中心街、
通称、十字通りには冒険者用の大きな立看板がある。
この看板には公序良俗を乱さない限り、誰が書き込んでもいいことになっていて、
狩り仲間・ギルドメンバーの募集から、
装備や消耗品などの買取売り出し広告まで、様々な情報が書き込まれている。
欠点はあまりに大きすぎるため、必要な情報を探し終わるのに時間がかかることだ。
「じゃあ、そろそろ帰りますか? 日も暮れてきたし。」
「んだねー 蝶の羽は持ってきた?」
「はい、もちろん。」
蝶の羽といっても言葉どおりではなく、
これも魔応石の一種である。
羽の形に作られたそれには、ワープポータルの下位魔法・テレポートの術式が組み込まれてあり、
任意の場所に送ってくれる。
一回しか使えない消耗品であるが、作成は容易で安価に量産されており、
普通の消耗品店で気軽に手に入れることができる。
「じゃあ、帰るよー」
「はーい」
ジョーカーの指示に答え、ポールが蝶の羽を頭上に投げると、
たちまち蝶の羽はキラキラと輝きながらその身に組み込まれた術式を発動した。
蝶の羽が砕け散ると共に、ポールとジョーカーの姿は跡形もなく消えていった。

体に重さが戻ってきたような感覚と視界が戻ってきたのを感じると、
そこは何時ものイズルートの町である。
港町・イズルートと首都・プロンティアは歩いて5分の距離にあり、
その距離はないに等しい。
にもかかわらず、人口密度に雲泥の差があるのは、
イズルートに全く魅力がないからではなく、
プロンティアを出る必要がないほどに、首都には全てがそろっているからだ。
首都にふさわしく、大きな城門に囲まれた町には、
冒険者の8割がその居を構えていると言い、
数多くの露店には彼らが集めた防具から消耗品まで様々な品が並ぶ。
その他にも他国との交易で得た技術・知識が集まっており、
商人から魔術師まで、一度は訪れたい都市として知られている。
学校から病院、広い住宅街と生活するにも支障ない設備が整っているため、
いくら近いとはいえ、わざわざイズルートに住む必要はなく、
あえて居住を構えるのは海で生計を立てる漁師か、
商業都市・アルベルタへの運搬船、
もしくは隣国シュバルツバルド共和国の首都・ジュノーへの連絡飛行船の関係者、
そしてヒゲのような気まぐれで物好きな連中ぐらいのものだ。
気まぐれで物好きなギルマスに合わせて、
溜まり場をイズルートにあわせているドスコイ面子は、
セーブ拠点もイズルートになっていたが、
今日のように、収集品を売りに出さねばならないときには多少不便を感じなくもない。
ちなみにセーブ拠点とは、
ルーンミッドガッツ王国の国民が持ち歩く、身分証明書に書き込まれた拠点地のことである。
魔法反応石で作られた証明書には姓名・性別・生年月日・住所などの基本情報が書き込まれ、
公共施設の利用や、他国へのパスポートなど、証明書としての使い方以外に、
株式会社カプラと国との共同経営で設定された、
移動魔法の中継拠点の登録がある。
蝶の羽や、アコライト系の得意とするワープポータルをはじめとする移動系魔法は、
万能に見えるが、悪用の可能性や術自体の危険性により、実は幾つかの制限がある。
移動先の制限がその最たるもので、移動魔法を使用する為には、
カプラサービスによる転送先の登録がされてなければいけない。
同時に呪文自体が証明書に反応して転送場所を固定するので、
もし、登録がされてなければ術の発動は失敗するか、
悪くすれば思いもかけない場所に飛ばされ、無事に帰ってくることは出来なくなってしまう。
冒険者ならずとも、町への帰還に蝶の羽を使うことは、大変便利且つ重要なことなので、
ルーンミッドガッツ王国の国民が、
物心付いた子供にまず教えることの一つにも、セーブの仕方は含まれている。

したがって、ポールにも蝶の羽による移動は何時ものことであったので、
たまにあるという「移動魔法酔い」もなく、
二人はすぐさまプロンティアへ向かった。
 イズルートの町を出るとすぐに大きな城門が目に入り、
広々とした静かな草原が広がっているのがわかる。
町のすぐ近くだけあって、危険な魔物は生息しておらず、
モンスター最弱と言われるスライム系モンスター・ポリンや、
ウサギに良く似たルナティックが時々、草を食んだり、
ごみを飲み込んだりしているにすぎない。
首都への歩道に設置されたベンチでは、幾人かが談笑しているのが見受けられた。
平和の象徴のような風景の中を進んでいくと、
反対側からガラガラと音を立てて、一人のアルケミストが歩いてくるのがみえた。
その後を、黒くて丸い何かをゼリーで包んだかのような、
体長50cmほどのみょうちくりんな生き物が追いかけている。

冒険者としての職業は幾つかあるが、
その中でも商人系と呼ばれるブラックスミスとアルケミストは、
他職と一線を引いている。
通常は生計のために狩りで集めた収集品を売るのだが、
彼らは商品を集める一つの方法として狩りに行く。
商人系と呼ばれるだけあって、
戦闘よりも消耗品の調達や物資の作成、運搬技術などを重視しており、
ほぼ全ての商人達が移動用カートを持ち歩いているほどだ。
商品さえ手にいれることが出来れば、
資格を持っていても、狩りに出ないことが元々少なくない上に、
最近では就職という形で、商人ギルドや大手薬品会社などに直接勤めることも多く、
余計に冒険者としての数は減っている。
しかし、移動用カートを振り回して敵を攻撃するカートレボリューションを始め、
彼ら独特の特殊技術は他職に劣るものではなく、
場合によっては、戦闘特化職すら上回る威力を見せるという。
狩り慣れしているかどうかは、それこそ聞いてみないと判らないが、
アルケミストの場合、
戦闘補佐として人工生物・ホムンクルスを育成し、引き連れていることが多いので、
その有無である程度の見当がつけることができる。

首都から歩いてきたらしいアルケミストを追いかけている、
変な生き物をポールがものめずらしげに見ていると、
相手もこちらに気がついたらしく、少し驚いた顔をして、駆け寄ってきた。
じろじろ見てはいけなかったと、ポールが慌てると同時に、
隣のジョーカーが、突然大声を上げた。
「うぉぉぉぉ!  ( ゚∀゚)o彡゚ おっぱい! おっぱい! おっぱい! おっぱい!」
「うわぁ!」
文字道理、横っ飛びに跳ね避けて、
「何なんですか、いきなり!」
と、ポールが突っ込むよりも先に、
アルケミストが叫ぶ。
「アババババババババババババババ!」
 
「( ゚∀゚)o彡゚ おっぱい! おっぱい! おっぱい! おっぱい!」
「アババババババババババババババ!」
「( ゚∀゚)o彡゚ おっぱい! おっぱい! おっぱい! おっぱい!」
常人とは思えない動きで、
手足をばたつかせるアルケミと腕を振るAXの勢いは止まらない。
平和の象徴のようだった街道は一気に異空間と化し、
ざわつく事すら躊躇っている周りの視線が刺す様に痛い。
「つ、通報される・・・」
こうなると、もはや突っ込むどころではなく、
通行人の一人が首都に走るのとほぼ同時に、
ポールは二人の首根っこを掴み、イズルートに逃げた。
「お父さん、お母さん、力持ちに生んでくれてありがとう!」
ポールが心の中で両親に感謝しながら、AXとアルケミを引きずって逃げていく後を、
みょうちくりんな生き物が必死で追いかけていく。
首都の警吏がやってきたときには、
3人と1匹の姿を見つけることは出来なかった。
腐ってもドスコイメンバー、
逃げるのは得意である。

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